
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第20章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 花びら占い
トスもまた微苦笑で応えた。
「イルチェさまに頭を下げて頂いたからには、お受けしないわけにはいきません。大監さまこそ、流石に天下一の策士でいらっしゃいますね。大監さまがおん自ら頭を下げてしまわれたら、私ごときがお断りすることもできないとご承知の上で、私が断れないように鮮やかに会話を誘導なさった」
イルチェは、それには晴れやかな笑顔を返した。
「政治においても、何事においても、多少の策を弄することは必要だよ。一本気で裏表がないのは好ましいが、一つ間違えば、融通の利かぬ愚かさにも通ずるものだ。君もよく憶えておきたまえ」
「後学のために、座右の銘と致します」
トスが慇懃に頭を下げ、イルチェはまた満足そうに顎髭を撫でた。
「イルチェさまに頭を下げて頂いたからには、お受けしないわけにはいきません。大監さまこそ、流石に天下一の策士でいらっしゃいますね。大監さまがおん自ら頭を下げてしまわれたら、私ごときがお断りすることもできないとご承知の上で、私が断れないように鮮やかに会話を誘導なさった」
イルチェは、それには晴れやかな笑顔を返した。
「政治においても、何事においても、多少の策を弄することは必要だよ。一本気で裏表がないのは好ましいが、一つ間違えば、融通の利かぬ愚かさにも通ずるものだ。君もよく憶えておきたまえ」
「後学のために、座右の銘と致します」
トスが慇懃に頭を下げ、イルチェはまた満足そうに顎髭を撫でた。
