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「ちょっ…んっ」


熱っぽいキスは、拓己が今まで女遊びをしてきた象徴とも思える。


手慣れている。キス一つでこんなにも、あたしをドキドキさせてしまえるのだから。


「…っ」

あたしは抵抗しても、無力に近い。
初めて男の人との力の差を感じた。


「…みなみ」

あたしの名前を呼ぶ。
絶対それは反則だ。


「…いつも呼び方は
『おじょーさま』
だったくせに、ずるい」

「そうだっけ？」


拓己の指が唇に触れる。
…心臓の鼓動はどんどん速まる。


「みなみ…

これからもしかすると、お前を頼るかもしれない。もうお前にしか頼れないんだ。

だから、泣きたくなったら
…胸借りて良い？」


優しく微笑む顔が
あまりにも綺麗で。
あたしは笑顔で頷いた。