紅桜学園イケメン部!
第13章 無力で愚か
朝目覚めると、体のあちこちが痛かった。
瑠菜は床で死体のように寝ていた。裸だ。
脱ぎ捨てられたように洋服は昨日の恐ろしさを物語っている。
「っ―――ごめん。
助けてやれなくて…」
あいつはもう居ない。
俺は瑠菜のシャツを手に取って、体にかぶせてやる。
「お兄ちゃん…」
気付いたようで、俺の腕を握りながら笑った。
「朝が来たねっ…、朝はもう来ないと思った…、うっ…ううっ…お兄ちゃん…も…ぅ…うっやだ…」
俺はまだ良い。体しか痛めつけられてないんだから。
だけど瑠菜は違う。
瑠菜は心まで痛めつけられたのだ。
床の水たまりを見て、さらに泣きそうになった。昨日何をされたのか。
全てを悟れてしまう。
体が震える瑠菜。
俺の体も震えてる。
怖い、…怖い。
あの男が怖くて…
俺は今にも泣き出しそうな思いだった。
だけど、泣いてはいけない。
俺が泣いたら、余計に瑠菜が泣いてしまうのだから。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える