
喘ぎ声レッスン*SS追加中*
第21章 消えた記憶
ドアを開ける前に、声が聞こえる。
「あなたの恋人は、あたしなの。
…あなたは、あたしの婚約者よ」
優の隣に居た女の人が、そう告げたのだ。…彼女だと、そう告げたのだ。
彼女はあたしなのに…、彼女はっ
彼女はあたしなのに。
ドアを開けるべきか、それとも逃げるべきか。迷ったけれど、部屋に入るべきだと思った。
逃げ出したら、負けなんだよ。
あたしは張り裂けそうな思いを押し込んで、ゆっくりドアを開いた。
そこには、二人がキスを
している光景があった。
何かがこみ上げてくる。
足は震えて動かない。
