
喘ぎ声レッスン*SS追加中*
第12章 赤い跡
「うわー」
あたしの目の前には、高層マンションがある。
ここまで来るのが今日は大変だった。
コーディネートしていた服が消えたので、急きょワンピースに変えた。そして仁がなかなか離してくれなかった。
あいつそんなに駄々っ子的なキャラだっけ?そんな事を考えながら来たせいか、目の前が何だか一瞬分からない。
「え、ここ?」
「ここだよ」
あたしでももよく知る、超有名な会社の名前が刻まれていて正直焦った。
「大丈夫?」
心配してくれる優が愛しい。優と一緒なら何だって出来る気がする。
「親父?俺。今から行くから。うん、そう…分かった」
優はお父さんらしき人に電話を掛けて、その間一人でぼーっとしている。
『彼氏いるんや?』
仁のあの顔が忘れられない。
泣きそうな顔をした仁の顔。
・・・あいつを一人にして良かったのか。
