
喘ぎ声レッスン*SS追加中*
第11章 新たなテロリスト
「…ゆーぅ」
可愛い寝顔で、名前を呼ぶ。
俺は直ぐに彼氏の名前だと分かった。
分かりたくもないのに、分かってしまった。
〝ゆう〟なんて名前、女でもいるのに、梓が『ゆう』と呼んだ時の顔が愛おしそうで、嬉しそうで。
俺は一瞬で分かった。
お願いだから、呼ばんといて。
嘘でも良いから『仁』って言って笑ってくれよ。
悔しい、悔しい。
何が悔しいのか。
それは、あまりにも彼の名前を呼んだ時の梓が可愛いかったから。
彼の名前を呼んでいる彼女が、可愛いと思った自分に悔しかった。
「あず…さ」
「ゆーぅ…」
今、夢でも見てんのかな。もしかしたら彼氏に名前呼ばれたとでも思ってるんかな。
「俺の名前呼べよ…」
そんな俺の声は、静かに部屋の空気に溶けていった。
