
喘ぎ声レッスン*SS追加中*
第11章 新たなテロリスト
「偶々持ち合わせていた睡眠薬が、役にたったんやなぁ」
眠ってしまった梓を見ながら俺はポツリ、呟いた。
目がくりくりしていて素直で可愛い梓は、常に話題の中心にいた。
誰もがみんな、狙っている。…俺だってそうやったな。
『梓に近づいた奴は、俺の敵だ。
全員、とっとと失せろ』
梓の気になると言った人は、片っ端から潰していった。勿論、梓の事が好きな奴も同じや。
その御陰で、梓には小学生時代は悪い虫が付かんかった。
…いや、付けんかった。
突然の引っ越しが決まったのは中学生になる前やった。俺はそれを拒否したけれど、結局両親は許してはくれんかった。
仕事の都合。たったそれだけの理由で、俺達は離ればなれになったんや。
慣れない関西弁に、慣れないテンション。
始めは気持ちを抑えて、馴染む事だけを考えていたんやけどな。
段々気持ちは抑えられなくなっていった。
梓に会いたくて会いたくて。
それっぽい人を探したけど、駄目やった。
梓みたいな黒髪のさらさらロングヘアーの可愛い子を彼女にしてみたけど、結局それで梓の面影を重ねれば重ねる程会いたくなってった。
そして俺はこうしてまた、会いに来た。
・・・寝ている姿は、まるでお姫様や。
塔の中で王子様のキスが無いと目覚めない、お姫様。
・・・キスして良いのは俺だけやのに。
やのに…。
「―――なんで彼氏いるんだよ」
親さえも憎い。
引っ越さなければ、彼氏なんて作らせへんかったのに。
