美人妻は性欲旺盛っ!
第23章 ひとりの戦い
それから…
気が遠くなるような日々が続いた
ろくな会話もない、一日二回のゆきと右京の逢瀬
何度も何度も繰り返した
雨の日も風の日も
ほとんど顔を見せただけで二人は素通りしてすれ違う
それでも
二人のやり取りは続いた
右京は見せ続けた
自分がどれだけゆきの事が好きなのかを態度で示し続けた
一切の言い訳なく、毅然な態度で微笑みながら、あるいは泣きながら、自分の全てをぶつけてきた
ゆきの手元にはその証のひとつである手紙が、積み重ねた右京の切実な一心が溢れ返っていた
『会いたい』『話したい』
一途で、引かない、弾丸のような言葉が込められた恋文は三十もの数を越えてなお増え続けていた
そして……もうすぐ2ヶ月が経とうとしていた
そんなある日の事だ
ゆきが朝出勤すると、右京の姿がどこにもなかった
ゆきは驚かず、出社し、右京を無視した現在の回数を確認した
(73回…)
石田は慌てていたが、当のゆきはいつも通りの落ち着きで仕事し、残業もなく定時で上がった
朝と同じく
忠犬の姿はなかった
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