キレーな顔した狼さん。
第14章 11匹目
ピンポーン─…
どんだけ短期なのか、すぐにまた、チャイムが鳴る
「………」
ゴシ
出かけた涙を拭って、怠い体を起こして、玄関へ歩いた
やけに長く感じる玄関までの距離
ピンポーン─…
3回目に鳴らされたチャイムに少し遅れて、俺は玄関の扉を開ける
「はいはい…そんなに鳴らさなくても…」
「汐里っ!?」
「…え…」
ビックリした…
俺の思考は一旦止まる
それと同時に体も停止した。
「汐里…良かった……」
「……る、き?」
「うん…?」
俺の開けた扉の前で優しく微笑む人…
それは、間違いなく…瑠樹だった
「え?…なんで?」
俺の頭は、動いたかと思うと、すぐに混乱し始める
瑠樹?なんで瑠樹が?さっき…あれ?
「汐里?…なんでって…そりゃ、会いたかったからだよ」
変な別れ方したし…と、少し困った顔の瑠樹
「……っ」
さっき拭った涙が再び込み上げてきて…
力一杯、歯を食いしばった
「フフ……汐里…俺が居なくて、寂しかったの?」
「なっ…バカ…っ」
「あれ…以外……否定、しないんだ?」
「っ…」
否定なんて……できなかった
だって、それは悲しいくらい俺がたった今、実感して解った事だから…
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