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第8章 過去と現在



弾き終わると、壁にもたれていた陸斗さんが無表情で僕を見た。



「…全然響かないな」

「!」

「確かにテクとしては上出来だ。だけど、お前のプレイはここに何も響いてこない」



そう言って陸斗さんは、自分の胸を親指で差す。



「世の中上手いギタリストなんて五万といる。けどな…その中で心情を表せるギタリストは、意外と少ないんだぜ?」



陸斗さんの言葉が、胸に重くのしかかる。
僕は思わず、手に力を込めた。





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