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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第2章 LessonⅡ 心ときめく記念日

 と、カーテン越しにオーナーの声音が聞こえた。
「由佳里ちゃん、そろそろ良いかな」
「あ、はーい。時間かかっちゃって、済みません」
 由佳里がさっとカーテンを開けると、オーナーが入ってくる。
「どれどれ」
 覗き込んだオーナーの顔が固まった。
「あの、私、そんなに変ですか?」
 輝が怖々訊ねると、オーナーは慌てて手をぶんぶんと振った。
「とんでもない。その逆ですよ、もう素敵すぎて、言葉も出ない」
 そのいささかオーバーとも思えるリアクションに、由佳里が嬉しげに幾度も頷いているのが鏡に映っている。
「本当に?」
「ええ、本当に本当です」
 と、これも由佳里と同じようなことを言う。

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