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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第2章 LessonⅡ 心ときめく記念日

 独身の中年女にウェディングドレスを着せて撮影してやると甘い夢を見させておいて、ドタキャンするとか。
「もしかして、私をからかっているんですか?」
 つい声が大きくなってしまったのは、この場合、致し方ないだろう。
 すると、対する男は真顔で手のひらをひらひらと振った。
「まさか。何で僕がお客さんをからかわないと駄目なんですか?」
 更に少し心外だと言わんばかりに続けた。
「これまでに一度だって、人の心や気持ちを弄んだことなんて、ありませんよ」
「でも、実体がないということは、写真館は存在しないんでしょう」
 輝も少し憤慨めいて言うと、男は首を振った。
「いえ、写真館そのものは、ちゃんとありますよ」

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