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話しながら歩いている中に、家が近くなってきた。梨花はペコリと頭を下げた。
「もう、ここまで来れば大丈夫です。本当に助かりました。ありがとうございます」
「どうせなら、ちゃんと家まで送りますよ」
　男が言ったその時、道の向こうから兄が息せききって走ってくるのが眼に入った。
「お兄ちゃん、どうしたの？」
　だが、ソルグクは梨花が応える前に、ジロリと男の方を見た。
「海棠、この男は誰だ？」
　まるで過保護気味の父親が娘の身辺を警戒するような口ぶりに、梨花は恥ずかしくて堪らない。
「この方は私が困っているところを助けて下さったのに、そんな言い方しないで。失礼でしょ」
「いや、良いのだ。別に私は」
　男が言おうとするのに、ソルグクは覆い被せるように言った。